「あなたは幸せ?」と問われ、すぐに「はい」と答える日本人は少ないだろう。しかし、世界の幸福度ランキングで日本が178カ国で90番目と言われれば、多くの人が「なぜ、そんなに低い?」と驚くに違いない。
英レスター大の研究者が、経済や健康面といった基礎データと各国民の意識などをもとに分析した結果である。ベスト3はデンマーク、スイス、オーストリアで米国23位、中国82位、ロシア167位など。日本の低迷はデータ面では上位だけど、国民の幸福実感が希薄なせいらしい。
「幸せ」と言えない、幸せを感じにくいことについて、筑波大学の宗像恒次教授(健康行動科学)は「日本人の5割はきまじめで完ぺきを目指す執着気質で、また7割が不安を感じると悲観的な思い込みに走る妄想気質だから」と分析する。要するに、自信を持てない心配性の集まりなのだ。
ちなみに、相当な自信家に見える石原慎太郎・都知事も「会見などで急に批判的な質問をされると、声を荒らげて怒り出すなど執着・妄想気質の典型」だそうだ。
問題は、遺伝子レベルの話なので、変える手立てがないという点にある。いろんな国際調査で、将来への強い不安や、現状への満足度の低さが際立つのも、そのせいなのだ。ただ、ここでダメだなあ、と悲観に陥るのはまさに悪循環。
長期のリスク管理に向くプラス面もあるので、「心配性の日本人が将来をあれこれと考えることが、世界に幸せをもたらすんですよ。人類が生き延びてきたのも、心配性の人がいたおかげですから」と宗像教授。
ふーん。
毎日新聞 2006年9月1日