消費者金融の規制強化問題で政府・与党は、少額・短期の融資に限って上限を超えた金利を認める「特例」について、利用者1人あたり2~3社まで認める方向で調整を始めた。特例を認める期間は、金利を引き下げてから「最長5年」とした上で、延長もありうるとの「見直し条項」を入れることも検討する。自民党は来週から貸金業小委員会での議論を再開するが、党内からも特例高金利には「規制の骨抜き」との批判が出ており、調整は難航しそうだ。
政府・与党は出資法の貸出上限金利(年29.2%)を利息制限法の上限(15~20%)まで引き下げ、いわゆるグレーゾーン金利を廃止することで一致している。だが、少額・短期の融資については「一時的にお金がない場合など、需要はある」として、年20%台後半の特例高金利を時限措置として認める方向だ。また、当初は「例外が例外でなくなる」(与謝野馨金融・経済財政担当相)との懸念から「特例高金利の適用は利用者1人につき1社まで」とする案が有力だったが「短期なら利子も膨らまず、返済負担は小さい」(自民党小委幹部)との考えから、1人につき2~3社まで認める方向になった。
さらに、法改正に伴う混乱を回避するため、改正法施行後、実際に上限金利を引き下げるまでには3年ほどの猶予期間を設けることがほぼ固まった。引き下げ後も最長5年間、特例高金利が続くため、法施行から8年間、上限金利を上回る金利を取ることが認められる可能性がある。
こうした特例高金利導入の動きに対して、自民党の貸金業小委員会に所属する若手議員6人は31日、与謝野金融相を訪ね、規制強化を徹底するよう要請した。メンバーは「業者の都合を優先すれば、改革の趣旨が失われる」(大塚拓衆院議員)として▽利息制限法を上回る金利を許容する期間は長くとも3年程度▽期間終了後は全面的に廃止する--よう求めた。これに対し、与謝野金融相は「特例は期間が終わればやめるのが適当だ」と答えた。【坂井隆之、清水憲司】
毎日新聞 2006年9月1日