カネボウの粉飾決算事件で、金融庁より7月から2カ月間の業務停止処分を受けた中央青山監査法人に監査を依頼していた上場企業のうち、9月の処分終了後に中央青山と再契約しない企業は273社(約36%)に上ることが31日、毎日新聞のまとめで分かった。また処分を契機に約1000人の公認会計士や一般職員らが離職する。中央青山は9月1日から「みすず監査法人」に改称するが、多数の企業や公認会計士らを失い、課題が山積する再出発になりそうだ。
中央青山と監査契約を結んでいた上場企業約860社のうち、5月の処分公表から8月31日までに、760社が今後の対応を公表した。
変更を公表した273社のうち、あずさ監査法人、監査法人トーマツ、新日本監査法人の3大監査法人に113社が移った。中央青山と提携関係にある米大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が設立し、7月から業務を開始した「あらた監査法人」への変更は77社で、トヨタ自動車やソニーなど大手企業が含まれる。
中央青山を離職する公認会計士、一般職員1000人のうち、あらたには約800人が移籍。このため、あらたは当初想定していたよりも100人も多い900人体制で業務を開始する見通し。業界では「国内は5大監査法人になった」との評価も出ている。
一方、中央青山と契約し、対応を公表した760社の約60%に当たる460社が、処分終了後の9月から中央青山と再契約する。これら企業の大半が「自社の監査では問題はなかった」「監査の継続性を重視した」と説明している。また、460社のうち173社は「新しい監査法人を見つけられなかった」として、7~8月の2カ月間、監査法人が不在となる空白期間が生じた。【森山知実】
毎日新聞 2006年9月1日