愛知県豊明市の会社員、加藤博人さん(47)宅で04年9月、加藤さんの妻子4人が殺害され、自宅が放火された事件からまもなく2年。現場の自宅が解体されることが決まり4日、工事が始まった。加藤さんはこの日、「家族を失った悲しみがますます強くなった」と思いを述べた。
加藤さん宅は事件後、愛知県警が検証などの必要性から焼け跡のまま保存していた。昨年9月に返還を受けた加藤さんは、犯人逮捕まで現状のまま残したいとの意向だったという。しかし、深夜に何者かが屋内に入り込んで写真撮影したり、自宅前で騒ぐなどのトラブルが相次ぎ、近隣住民への配慮もあって解体を決めた。
事件は04年9月9日午前4時半ごろ、加藤さん宅が全焼して発覚。焼け跡から妻利代さん(当時38歳)、長男佑基さん(同15歳)、長女里奈さん(同13歳)、二男正悟さん(同9歳)の4人が他殺体で見つかった。
愛知署特捜本部のこれまでの捜査で、4人は別々の部屋で就寝中に襲われ、佑基さんと正悟さんはバールのような物で頭を殴られ、利代さんと里奈さんは刃物で背中などを刺されていた。犯人は4人を殺害後、室内の数カ所に灯油をまいて放火。加藤さんは自宅におらず無事だった。
特捜本部は捜査員延べ1万人以上を動員し、15人態勢で捜査を続けているが、犯人逮捕に至っていない。【米川直己】
毎日新聞 2006年9月4日