山口県周南市の徳山工業高等専門学校の研究室で、同校土木建築工学科5年、中谷(なかたに)歩(あゆみ)さん(20)=同県防府市伊佐江=が首を絞められて殺害された事件で、県警の捜査本部が殺人容疑で逮捕状を取り指名手配して行方を追っていた同校の男子学生(19)=周南市=のバイクが7日、同県下松市の山中で見つかった。近くで男性の首つり遺体が見つかり、県警は学生とみて身元を調べている。
調べでは、男子学生は中谷さんの同級生で同じ研究室に所属。男子学生は8月28日午前、同校専門科目棟3階にある研究室で、中谷さんの首をひものようなもので絞めて殺害した疑い。遺体に付着した遺留物などから男子学生を割り出した。司法解剖結果から、死亡推定時刻は28日午前10時半から正午ごろとされている。
男子学生は午前11時よりも早い時間に研究室に1人でいるのを学校関係者に目撃されたのを最後に、行方が分からなくなっていた。男子学生は通学に使っていた青いスポーツタイプのバイクで逃走したとみて、県警は一時、ヘリコプターも飛ばして上空からも捜索したが、男子学生を発見できなかった。
これまでの調べでは、中谷さんは同午前10時ごろ、同級生の女子学生と登校し、いったん別れた。午前11時ごろ、女子学生が研究室に行ったところ、入り口ドアの鍵がかけられ、人の気配もなかった。女子学生は昼食後も携帯電話で連絡がとれなかったため、数人で中谷さんを捜し始め、午後3時ごろ、女性職員が研究室のドアを開け、首にひもが巻いた状態の遺体を見つけた。
事件当時、研究室を管理する担当教官は出張中だったが、所属する5年生の学生には出入りができるように研究室のドアの合鍵をそれぞれに渡していた。
捜査本部は、ドアに鍵がかかっていた研究室の状況などから、中谷さんは女子学生と別れた後、研究室で先に来ていた男子学生と会い、殺害されたとみて、2人の間にトラブルなどがなかったか捜査していた。