(左から)麻生太郎外相、小泉純一郎首相=首相官邸で2005年10月31日、平田明浩写す
19日からニューヨークで始まる第61回国連総会の一般討論演説を小泉純一郎首相、麻生太郎外相がともに欠席する見通しとなった。自民党総裁選と党役員・閣僚人事を20日以降に控えているためだが、56年の国連加盟後、毎年恒例の同演説を首相、外相のいずれも行わなかったのは昭和天皇が体調を崩した88年や、米同時多発テロの影響で国連総会が11月にずれ込んで臨時国会と重なった01年など3例しかない。
今回は小泉首相が退陣直前のため、外務省は外相出席を前提に準備を進め、国家元首・首相級の演説終了後、外相級で2人目となる21日夕(日本時間22日朝)の演説日程を押さえた。総裁選翌日の21日午前に日本を出発すれば間に合うが、麻生氏は候補者であることを理由に難色を示している。仮に総裁選で敗れても党役員や重要閣僚に起用される可能性があり、出席は困難とみられる。
このため外務省は大島賢三国連大使が演説を代行する方向で調整に入ったが、本来、今年は国連加盟50周年にあたることから、戦後の日本が国連重視を外交の柱としてきたことや、安保理常任理事国入りを目指す立場をアピールしたいところ。国連総会に合わせて主要国(G8)外相によるイラン問題の協議や、北朝鮮問題の関係国外相会合を開く動きもあり、「できれば外相に出席してほしい」というのが外務省の本音ではある。【山下修毅】