千葉県佐倉市で昨年11月、成田国際空港の検問を突破し、追跡してきた警察官2人を刺して死傷させたとして、殺人罪などに問われた同県八千代市大和田新田、無職、中村卓也被告(35)に対し、千葉地裁は14日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。山口雅高裁判長は「短絡的な動機にもとづいて常識では考えられない暴挙に及んだ犯行で、社会に与えた衝撃は大きい」と述べた。
判決によると、中村被告は05年11月8日午後2時半ごろ、乗用車で空港第2ゲートを突破し、東関東自動車道などを暴走して逃走。約40分後、佐倉市下勝田の市道で降車し、追跡してきた成田空港署の石塚忠志警視(当時48歳)の胸を持っていたナイフで刺して殺害。また、駆け付けた佐倉署の巡査部長(同40歳)の肩を刺し、約3週間のけがを負わせた。
弁護側は「被告は事件当時、心神喪失か耗弱状態だった」として無罪または減刑を求めたが、山口裁判長は「詳細な供述をしており、意識に障害はなかった」と退けた。【倉田陶子】
毎日新聞 2006年9月14日