ポイントが入った時点で勝負が決まる延長に入っても、攻め手を緩めなかった。一本背負いから効果を奪った場面は「無我夢中で覚えていない」。強気の姿勢を貫いた23歳の岡が、今大会の日本勢で唯一の金メダルを手にした。
1年前の苦い思い出が、攻撃へと駆り立てた。地元ドイツ選手と対戦した決勝は、延長でも決着せずに判定負け。再びドイツの選手と顔を合わせ「今日は絶対に負けない気持ちで行った」という。
アテネ五輪3位のベームに圧力をかけ続け、地元ファンの歓声は「自分が応援されている気持ちでやった」。相手の激しい動きで鼻血を出しても、前へ出る足は止まらなかった。
世界選手権代表を争う4月の全日本選抜体重別選手権へ弾みとなる初優勝。女子70キロ級にはアテネ五輪金メダルの上野雅恵(三井住友海上)が君臨するが「勝たなきゃ代表にはなれないから、勝ちたい」と頼もしく言った。(共同)
▽鈴木桂治 久しぶりに脚が震えるくらい緊張した。あんなにきれいに投げられたのも久しぶり。ゼエビには今日は完全に負けたと思う。もっとレベルを上げていかないといけない。(共同)
〇…今大会で日本の優勝は女子70キロ級の23歳、岡だけ。全日本柔道連盟の吉村強化委員長は「女子は若手も育っている」と総括したが、全体的に低調な内容だった。
谷亮子(トヨタ自動車)が復帰する女子48キロ級では福見(筑波大)が2位になり、2週前のフランス国際は中村(東京・渋谷教育渋谷高)が3位。同委員長は「総合力ではまだ谷が抜けている」と物足りなさそうだった。(共同)
毎日新聞 2007年2月26日 17時27分