楽天は27日、TBSとの資本・業務提携交渉を当面、凍結する方針を固めた。交渉の前提となるTBS株に関する銀行との信託契約が28日に切れるが、信託解除後の株式の取り扱いについて、TBSと合意することは難しいと判断。27日、TBSに保有株の扱いについて新たな覚書は結ばない意向を伝えた。TBS側も28日の取締役会で、楽天との交渉について結論を出す。
両社は05年11月、楽天が保有するTBS株(発行済み株式の約19%)の約半分をみずほ信託銀行に信託し、持ち株比率を10%未満に下げることを盛り込んだ覚書を交わし、業務提携交渉に入った。楽天がTBS株を大量保有し経営統合を迫ったことにTBSが反発したことから、交渉入りには、楽天が株を買い増したり、大株主として経営に介入したりしないことを約束する必要があったからだ。
しかし、交渉は進展しないまま信託期限を28日に迎えることになり、楽天の三木谷浩史社長は15日の決算会見で、「株式の信託は1年の約束で、今後はしない」と述べ、TBS株を全て自社保有に戻す方針を表明。その際の株の扱いに関する新たな覚書をめぐり、両社は交渉をしていた。TBSは、「信託解除後も議決権を凍結すること」などを要望したが、楽天側は受け入れないことを決めた。
これまでは交渉に進展がなくても覚書に基づき交渉期限を毎月、自動延長してきたが、新たな覚書を結ばないことで、今後は延長せず、凍結状態となる。楽天は今後、TBS株の買い増しなどができることになるが、「対立関係に戻るわけではなく、今後も話し合いをしていく」(楽天幹部)としており、当面両社のにらみ合いが続く可能性が高い。【工藤昭久】
毎日新聞 2007年2月28日 3時00分