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楽天・TBS:和解合意 保有株で新たな攻防

作者:未知  来源:每日新闻   更新:2005-12-1 7:35:00  点击:  切换到繁體中文

経営統合をめぐり1カ月半にわたる駆け引きを繰り広げた楽天とTBSは30日、和解協議入りで正式に合意した。だが、楽天が保有するTBS株19.09%をどうするかは、今後の協議に委ねられた。両社は株の処理を決着させ、業務提携の成果を出すことができるのか。来年3月末をめどに、業務提携委員会を舞台とした新たな攻防が始まる。【TBS問題取材班】

 ◇「信頼関係」保証なく

 土壇場で和解協議入りの合意にこぎつけた楽天とTBSだが、楽天が保有するTBS株の取り扱いという難題が待ち受けており、両社の対立の火種は残されたままだ。覚書では、19.09%のTBS株の取り扱いは「両社で協議する」と記されただけ。最終的な処理の具体案は一切示されていない。

 TBS側は、「株を手放すことが協議入りの前提」(幹部)と一貫して強硬論を主張してきた。楽天に株を大量保有されることへの抵抗感は強く、今後の協議で、楽天に株の放出を求めるとみられる。ただ、この場合、TBSは引き取り先を見つける必要がある。TBSはこれまで、水面下で証券会社を通じて「受け皿」を探したが、株数が多いこともあり、うまくいかなかった。

 株価の問題もある。TBSの株価は両社が和解協議入りに動いたことを受けて下降線をたどり、現在2700円台に下落している。楽天の平均取得価格は3000円を上回っており、今の市場価格で手放すと損失が生じる。楽天は応じることが難しい状況だ。

 株売買で損失補てんはできないため、TBSが楽天に出資する形で資金援助する可能性もある。だが、TBSの井上弘社長は「各企業と等距離で提携する」ことを掲げており、簡単ではない。

 そもそも、楽天にとって保有株を手放すことは武器を捨てることに等しい。楽天幹部の間からは、「TBS株を信託はするが、保有比率を減らすつもりはない」との声が公然と出ている。楽天が株放出を受け入れない事態も十分、考えられる。

 両社が合意した覚書は仲介者のみずほコーポレート銀行のもとで作成した急ごしらえの面が否めない。株の扱いだけでなく、株の買い増しについても盛り込まれなかった。楽天の三木谷浩史社長は「信頼関係」を掲げて買い増しを否定するにとどまった。3月末までに協議がまとまらなかった場合の道筋も不透明だ。一方の要求だけで協議期限を引き延ばせるかどうかは、「信頼関係の中で対応する」(井上社長)程度の取り決めしかない。

 3月末までに折り合えなければ、両社は決裂か、期間延長かの選択を迫られる。協議を延長した場合も、楽天が引き続き議決権を凍結するかどうかは定まっていない。

 楽天の三木谷浩史社長は「良いものをつくるために急いでやろうと言うつもりはない」と述べたが、楽天内部には「いたずらに検討期間を延ばすのは望ましくない」(幹部)との声もある。

 一方の井上社長も「合意では、楽天がTBS株を手放すことにはなっていないので、一定の緊張感は残る」と不満を示した。両社が再び対決姿勢に戻る可能性も否定できない。

 両社トップの30日の会見は、個別に開かれ、場所も時間も別々だった。対立の根が深い両社の協議は今後、針の穴を通すように困難な展開が予想される。

 ◇放送とネット「融合」前途多難

 楽天とTBSの今後の協議で、事業をどう共同展開し、「ネットと放送の融合」を実現するかも焦点だ。「全方位外交」が基本のTBSのネット戦略で、楽天がどんな役割を担うのか。双方の利益につながる具体的な提携の成果を上げることが迫られる。

 TBSの井上弘社長は30日の会見で、インターネットで放送番組を流すことや、電子商取引などの分野で提携を検討する方針を明らかにし、「『融合』は言うのは簡単だが、商売としては、なかなか難しい」と述べた。一方、楽天の三木谷浩史社長は会見で「ビジネスとして面白い」と述べたが、融合の具体的な絵図は示さなかった。

 TBSは既に、電通と他の民放と共同でネットに番組を配信する新会社を設立する方針を決めたほか、他の情報通信系企業との提携も相次いで決めた。和解協議入りが決まる前、あるTBS関係者は「うちの戦略に楽天が入り込む余地はない」と言い切った。

 「融合」を目指した前例に、フジテレビとライブドアがあるが、両社は結局、有効な提携業務を見つけられず、ミュージカルの共催など「融合」につながらない業務提携にとどまった。

 津田正夫・立命館大教授(市民メディア論)は「放送側、ネット側とも、融合で、どんな世の中が出現するのかを全然示さない。本当に融合を進めたいなら、広く市民の意見を集め、新たなメディア社会観を提示すべきだ」と指摘する。

 ◇楽天株時価総額1兆円台を回復

 30日の東京株式市場で、楽天の株価は3日続けて上昇し、前日終値比3600円高の8万7000円で取引を終えた。時価総額は1兆297億円と1兆円台を回復し、TBSに経営統合を申し入れた10月13日とほぼ同じ水準に戻った。

 一方、TBSの株価は2日続けて下落し、終値は前日比210円安の2775円。時価総額は5273億円と、楽天の半分の水準になった。

 両社の和解協議入りを受け、業務提携への期待と、TBS株を追加購入する負担がなくなったことなどから楽天株は買われた。一方、TBS株は楽天の株買い増しや株式の公開買い付け(TOB)の可能性が低くなり、売りが優勢になった。

 ▽佐山展生・一橋大大学院教授

 楽天とTBSの和解は、休戦であって決着ではない。株をめぐる争いが続けば互いに企業イメージや信用力を損ねたので賢明な選択だ。来年3月末までに、互いの提携のメリットを具体的に示すことができるかどうか。失敗すれば、再び戦闘状態に突入することが大いにありうる。

 楽天は、40%程度のTBS株を握って経営統合を迫っていれば押し切れたが、十数%では当初から無理があった。TBSが楽天に保有株の放出など困難な注文をつけ、これを盾に協議入りを拒んだのも、信頼関係がない以上、無理のないことだった。

 今後は両社とも業務提携委員会の場で力量が問われる。楽天はTBSを説得できず再び株式の公開買い付け(TOB)などの強行策に打って出ても、成功する保証はない。TBSは協議に入る以上、株主の利益を守る明確な対案を示さなければならないだろう。業務提携の中身と、楽天保有株の処分のあり方がポイントになる。(談)

 ◆覚書の骨子◆

・両社は「放送とネットの連携」の実現に向け、業務提携委員会を発足

・楽天は経営統合提案をいったん取り下げる

・協議期間中、楽天は保有するTBS株を10%未満まで低下させ、これを超える分はみずほ信託銀行に信託

・楽天のTBSへの最終的な出資比率は両社で協議

・協議期間は来年3月末まで。延長は可能

 【ことば】株式の信託 通常は資産運用や株式の管理事務の負担を軽くするために行われる。株主が信託銀行に株券を預けて管理、運用を任せ、収益を分配する。名義は変わるが、所有権は元の株主に残るため、議決権の行使や配当の受け取り、売却も可能。自動的に議決権が信託銀行に移ることはないが、今回の合意では、議決権を移す特約が結ばれたとみられる。

毎日新聞 2005年12月1日 0時50分 (最終更新時間 12月1日 1時04分)


 

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