日本陸上競技連盟は12日、東京都内で理事会・評議員会を開き、今夏の世界陸上選手権大阪大会の男女マラソン代表(各5人)を決めた。男子は前回の05年ヘルシンキ大会で銅メダルの尾方剛(中国電力)、前回14位の奥谷亘(SUBARU)、04年アテネ五輪6位の諏訪利成(日清食品)、ドーハ・アジア大会3位の大崎悟史(NTT西日本)らを選んだ。女子は前回6位の原裕美子(京セラ)、同15位の小崎まり(ノーリツ)、01年エドモントン大会銀でアテネ五輪5位の土佐礼子(三井住友海上)らが入った。
選考では選考会の順位や記録、暑さへの対応力などが考慮された。沢木啓祐強化委員長によると、女子は原、土佐、小崎が決まった後、名古屋国際でラストの強さを見せて優勝した橋本康子(セガサミー)、アジア大会で2位と健闘した嶋原清子(資生堂)が入った。名古屋は記録が低調だったため、2位の弘山晴美(資生堂)は議論対象に入らなかった。
男子の最後の枠は、気温が20度を超えたびわ湖毎日で粘った久保田満(旭化成)が評価された。別府大分毎日優勝の藤田敦史(富士通)、東京2位の佐藤智之(旭化成)は、最初の挑戦だった福岡での不振が響いた。
補欠に男子は佐藤、女子は大阪3位の加納由理(資生堂)が指名された。
男子は大会開幕日の8月25日、女子は最終日の9月2日、ともに午前7時から行われる。メダルを取り、日本人最上位になれば北京五輪の代表に内定する。【石井朗生】
○…04年のアテネ五輪、05年世界選手権でも候補になりながら代表選考で漏れていた大崎は、三度目の正直に「素直にうれしく思っている。日本人トップ、メダルを取りたい」と喜びを語った。NTT西日本は今月1日に世界選手権に3度出場した清水康次監督が就任したばかりで、「新体制になって最初の大きなイベントで結果を出して、チームを勢いづけたい」と大崎。清水監督は「(就任)早々に世界で戦う選手を見られるのはうれしい。夏のマラソンは少し違った調整が必要。いい体調でスタートラインに立たせたい」と大仕事に意気込んでいた。
◇好走の男女4選手が会見
マラソン代表に決まった10選手のうち、選考会で特に好走した男女4選手は12日、東京都内でそろって会見した。
女子の原は「プレッシャーに負けず、終わった後のごほうびのお肉のことを考えるくらいの余裕で走りたい」と笑顔。土佐は「故障なくスタートラインに立ち、世界大会の雰囲気を楽しみながら自分のレースをしたい」と語った。
男子の奥谷は「地元(兵庫出身)の関西で行われるので感慨深い。入賞や、もっと上の走りができるよう努力したい」と意欲。諏訪は「自分の力を出し切れればいい。だがそろそろ(未経験の)勝ちにつながるレースができたら」と強気も見せた。
大会中の大阪は猛暑が予想されるが、この4人は五輪や世界選手権を経験。奥谷は「練習の疲労を残さないことを考えたい」と対策。原は「寒いより暑い方が好き」と、そろって前向きに考えていた。【石井朗生】
▽大崎悟史 地元なので期待に応えられるようがんばりたい。北京五輪を目指し日本人トップ、メダルを取りたい。
▽尾方剛 ホッとした。3大会連続の経験を生かしたい。暑さは得意だし、条件が悪いほど僕にはチャンスになる。
▽久保田満 実感がわかない。自分はまだ実績を残せていないが、旭化成の偉大な先輩に続けるようがんばりたい。
▽小崎まり 目標は1ケタ順位。(各国上位3人の合計タイムで争う)団体で金メダルを取りたい。地元開催のプラス要素を力に変えたい。
▽橋本康子 今までなかなか届かなかった代表に選ばれてうれしい。世界選手権では楽しんでいい結果を出したい。
▽嶋原清子 ベストな結果が出せるよう、安定感に一層磨きをかける。万全の体調で臨み悔いのないレースにしたい。
毎日新聞 2007年3月12日 19時28分 (最終更新時間 3月12日 22時43分)