米Oracleは英国時間9月6日、欧州におけるグリッド技術の導入状況について調査した結果を発表した。欧州企業におけるグリッド技術の導入状況を、10ポイント満点の総合グリッド指数「Oracle Grid Index」として算出したところ、2004年の同指数は3.1となった。
調査は、Oracle社の依頼を受けて、ビジネスおよびITに関する市場調査を手掛ける英Quocircaが実施したもの。フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国、ベネルクス諸国、北欧諸国における企業のIT管理担当者603人を対象にアンケートを行った。グリッド導入のライフサイクルに基づき、「知識指数」(グリッドに関する知識)、「恩恵理解指数」(グリッドがもたらす恩恵の理解)、「取り組み指数」(グリッド導入の取り組み)、「ROI指数」(グリッド導入によるROIの実現)を測定し、その全てを含めた総合グリッド指数を算出した。
Oracle社欧州/中東/アフリカ担当上級副社長のSergio Giacoletto氏は、「グリッド指数3.1は、初期段階の数値としては非常にさい先が良い」と述べた。また同氏によると、調査対象となった企業の半数以上が、社内のITインフラの標準化と統合を実施中、あるいは完了しているという。「この二つは、グリッド・コンピューティングを導入するための必要条件だ」(同氏)
調査から、グリッド技術の恩恵に対する認識不足が、同技術の普及速度に大きな影響を与えていることが分かった。例えば、回答者のグリッド技術に対する知識は、ストレージ統合やストレージの仮想化に関する知識を下回っており、グリッド技術に関する教育の必要性を示唆している。
ちなみに、グリッド技術がもたらす恩恵として、回答者の51%が、「IT分野における設備投資費用と運営費の削減」を挙げた。
その他の主な調査結果は次の通り。
・グリッドに関する知識レベルによって回答者を分類し、知識指数が6.7~10だった回答者を「グリッド導入リーダー」と定義付けたところ、グリッド導入リーダーの恩恵理解指数(6.5)は、グリッドに関する知識が低い回答者の同指数(1.2)を大きく上回った。
・売上高が10億ユーロ、あるいは社員数が1万人の企業の総合グリッド指数(3.2)は、売上高が1億ユーロ、あるいは社員数が1000人の企業の同指数(2.9)より高かった。また、企業規模が大きいほど取り組み指数も高く、それぞれ2.0と1.4だった
・グリッド導入リーダーの取り組み指数は5.4で、それ以外の回答者の同指数は0.7だった
・グリッド導入の取り組みに最も力を入れているのは、小売り、金融サービス、公益事業分野の企業である
・ベネルクス諸国、フランス、ドイツ、英国では、グリッド技術に関する取り組みが他の欧州諸国より進んでいる
|