富山県警に強姦(ごうかん)と同未遂容疑で逮捕された男性(39)が服役後に無実と分かった冤罪(えんざい)事件で、男性が弁護団に対し「冤罪と分かった直後、富山地検から『(捜査を担当した)県警の取調官と地検高岡支部の副検事を恨まない』という内容の調書を取られた」と話していることが分かった。
富山県警が男性の誤認逮捕を発表したのは、今年1月19日。弁護団によると、その後の同24日、男性は富山地検で、検察官から無罪を証明するための調書を取ると説明を受けた。検察官は県警の捜査員や同地検支部の副検事の実名を挙げ、男性に「恨むか、恨まないか」と質問。男性は無実の強姦事件で取り調べを受けた際の威圧的な態度を思い出し、「恨みません」と答えた。検察官は、その言葉を盛り込んだ調書を朗読し、男性は調書に押印、署名したという。
男性の弁護士の一人は「恨みに思うかなど聞く必要のない質問で、検察の目的がよく分からない。国家賠償を想定してのことかもしれないが、警察と検察は、なんでそんな質問をしたのかを明らかにする道義的責任がある」と話している。【上野宏人】
富山地検の佐野仁志次席検事は「検察官調書の有無及び内容に関することは、回答できない」とコメントした。
毎日新聞 2007年5月28日 19時56分