【福岡】旧サッポロビール九州工場(北九州市門司区大里本町)の醸造棟が27日、00年の工場閉鎖後初めて一般公開された。同工場の建造物が国の登録有形文化財に決まったことを記念した催しで、NPO法人「門司赤煉瓦(れんが)倶楽部」が、門司みなと祭イベントの一つとして実施した。
旧醸造棟は、1913(大正2)年に建造されたレンガ造り7階建て。内部には醸造用のタンクなど生産設備の一部が残されている。この日は午前と午後の計3回、見学に応募した計120人が建物の内部を見て回った。
同工場閉鎖まで働いていたという同区寺内の吉元隆義さん(69)は、妻のレイ子さん(68)と一緒に見学。「懐かしくて、涙が出ました」と、感慨深い面持ちで、当時の思い出話をしていた。
門司赤煉瓦倶楽部の竹中康二・事務局長は「これまで公開の機会がなかったが、今後は春と秋の年2回公開したい。それに合わせ、昔あったビール祭りを復活させたいと考えています」と語った。
この日は他に、生誕100年を記念した詩人・中原中也の作品朗読会やフリーマーケットなどがあり、赤煉瓦プレイス周辺は終日多くの人たちでにぎわった。【木村雄峰】
2007年5月28日