双子の男性1500組を対象とした米国のある調査によると、勃起障害(ED)の原因の4割は、遺伝で説明できるようだ。これは今年、米国医師会の学術誌であるArchives of Internal Medicine誌1月26日号に掲載された研究結果によるもの。EDの発症に遺伝要因がどの程度影響するかが分かったのは、この報告が初めてだという。
研究グループは、「EDになりやすい遺伝子タイプ」が、近い将来発見される可能性が高いとみている。
心臓病や糖尿病、あるいはがんなど、年をとるほどかかりやすくなる病気の場合、体質など「遺伝的な要因」と生活習慣など「環境的な要因」の、両方が発症に深く関係している。一般に、患者数が少ない病気や若い人でもかかる病気では「遺伝要因」、患者数が多い病気やお年寄りに多い病気では「環境要因」の影響が大きいと考えられている。
「双子研究」は、この「遺伝要因」と「環境要因」のバランスをみる研究としてよく行われるもの。一卵性の双子は全く同じ遺伝子を持っているが、二卵性の双子は2分の1しか同じ遺伝子を持っていない。よく似た環境で育った(環境要因がほぼ同じ)双子の、二人ともが同じ病気にかかる確率(相関係数)を一卵性と二卵性とで比べれば、遺伝要因の影響の大きさがわかるという仕組みだ。
米国シアトル疫学研究情報センターのMary E. Fischer氏らは、40~60歳代の双子男性1万762人にアンケートを実施。双子の両方がアンケートに答えてくれた1509組について、一卵性か二卵性かで相関係数がどの程度変わるかを調べた。なお、アンケートを送った双子は全員が軍人で、子どもの頃だけでなく、成人してからも生活環境が似ている可能性が高い。
その結果、一卵性の双子の方が二卵性の双子よりも、「二人ともED」あるいは「二人ともEDではない」割合が多いことが判明。EDの発症要因のおよそ4割が、遺伝的なものとみなせることがわかった。心臓病や糖尿病などの持病や喫煙・飲酒量など、EDの発症に影響する可能性がある要因で補正しても、結果は大きくは変わらなかった。
研究グループは、何らかの遺伝的な要因が、EDの発症にかなり大きな影響を与えていると結論。EDになりやすい遺伝子タイプについて、研究を進める価値があるとしている。
なお、この論文のタイトルは、「A Twin Study of Erectile Dysfunction」。
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