米Altera Corp.はストラクチャードASICの新製品「HardCopy II」を発表した。同社の高集積FPGAである「Stratix II」の量産版にあたる。2005年1月24日に開催した記者説明会で同社が強調したキー・ポイントを以下にまとめる。
Altera社はHardCopy IIでターゲットとする市場を,大規模回路を必要とする基地局などの通信分野や測定器,医療機器などの産業分野と考えている。HardCopy IIではASICの置き換えを狙い,100万~220万ASICゲート相当の高集積の品種を揃えた。論理回路規模が同等のFPGAであるStratix IIに比べて,内部の論理回路の消費電力は50%以下,動作周波数は約2倍の350MHz以上にできる。同社は従来品の「HardCopy Stratix」とHardCopy IIを合わせれば,性能や集積度の点でASIC市場全体の65%~70%をカバーできるとしている。2006年には約1兆5000億円以上の市場規模が視野に入るとする。
Altera社はHardCopy IIの利点を,同一の設計データでFPGAとストラクチャードASICの双方に展開できることとする。FPGAの検証が済めば,顧客はそのまま設計データを同社のデザイン・センターに送ればよいという。「デザイン・センターでの試作は2~4週間で完了する。その試作品を顧客が承認すれば約8週間後に製品を出荷できる」(日本アルテラ 代表取締役社長の日隈寛和氏)。他社のストラクチャードASICに比べてFPGAからの移植に関する検証作業が少ないとする。設計環境については,2005年第2四半期に出荷開始する統合開発環境「Quartus II バージョン5.0」において,HardCopy IIへの対応を図る。
HardCopy IIを開発するに当たり,顧客が負担する開発費は22万5000米ドルからとなる。最小発注数量は1500個である。チップ価格は100万ASICゲート相当の「HC210W」で10万個購入時に15米ドル。HardCopy IIについて, 220万ASICゲート相当で1020端子のFBGA(FineLine ball grid array)に封止した「HC230F1020」を2005年第3四半期から出荷し,2006年上半期までに全製品を出荷する予定としている。
Altera社は,設計ルール90nmの低価格FPGA「Cyclone II」の出荷を,予定を前倒しして開始したことも発表した。「安定して製品を供給する能力には自信を持っている」(日隈氏)。同社はこのCyclone IIを手駒に集積度の低いASIC市場を押さえるつもりだ。例えば民生機器の分野では,各機器メーカーは独自のシステムLSIを持っており,製品の差異化を図っている。低価格FPGAは中核となるシステムLSIにちょっとした付加機能を付ける目的などで使われている。このため,ASICゲート相当で数万~約10万ゲートと集積度が低い。こうした集積度の低い用途には,Cycloneなどの低価格FPGAがすでにASICと同等の価格を達成しているとする。 |