米Cypress Semiconductor Corp.は,8ビット・マイコン「PSoC」に向けたソフトウエアの開発支援ツール「PSoC Express」を発表した。PSoCが内蔵するCPUコア「M8」で動作するソフトウエアなどを,GUI(graphical userinterface)機能を使って作成できる。これまでのようにC言語やアセンブリ言語を使う必要がなくなるため,ソフトウエア開発に要する時間を短縮したり,ソフトウエアに関する知識の少ないエンジニアが開発を担当したりといった利点が期待できる。
PSoCはCypress Semiconductor社製のマイコンで,プログラマブルなアナログ回路を内蔵する。制御モジュールやセンサ・モジュールなどを少ない部品点数で低価格に構成できる点をウリにしたものだ。今回のPSoC Expressを使って開発できるソフトウエアも,こうした用途を想定する。
PSoC Expressを用いたソフトウエア開発の大まかな流れは次の通り。まず開発者はGUI機能を使って,PSoCに接続する部品と,PSoCで処理する制御の内容を設定する。具体的には(1)入力デバイス,(2)出力デバイス,(3)マイコンに制御させる関数,である。PSoC Expressは開発者が設定したデバイスや関数のライブラリを読み込み,C言語のソース・コードを作成する。これと同時に,内蔵するアナログ回路の構成を規定するデータも専用形式で出力する。このうちソース・コードを既存の統合設計環境「PSoC Designer」を用いてコンパイルして,PSoCで実行可能なバイナリ・コードを生成する。アナログ回路の構成データについては,PSoC Designerを使ってPSoCに書き込んでアナログ回路をプログラムする。
Cypress Semiconductor社が当初提供するライブラリには,次のようなものがある。例えば入力デバイスとして温度センサや押しボタン,ポテンショメータ,タコメータなどがある。出力デバイスには,ブザーや発光ダイオード(LED),リレー・スイッチ,ブラシレス・モータなどがある。なお同社は入出力デバイスのライブラリを,オープンソースとして流通させる。電子部品メーカーが,PSoC Expressに向けたライブラリを自由に開発することも認める方針だ。
PSoC Expressはこのほか,周辺部品を含めた全体の部材コスト(BOM:bill of material)を見積もる機能や,データシートを自動的に作成する機能などを備える。入手方法するにはCypress Semiconductor社のwwwサイトから無償でダウンロードできる。 |