陸上の北海道マラソンは28日、札幌市・真駒内屋外競技場から札幌市街を巡り中島公園に至るコースで男女同時スタートにより行われ、女子は千葉真子(豊田自動織機)が5キロ過ぎから女子では一人抜け出し、2時間25分46秒で2年連続3回目の優勝。大会記録を25秒更新した。今年の世界選手権の補欠だった嶋原清子(資生堂)が終盤追い上げて2時間26分14秒の自己記録で2位に入った。男子は36キロ付近で先頭に立った渡辺共則(旭化成)が2時間14分50秒で、日本選手として4年ぶりに制した。(スタート時の気象=曇、気温28度、湿度45%、東の風0.2メートル)
◇「走る楽しさを体現できて満足」…千葉真子
満面の笑みでフィニッシュ。「新しい出発にふさわしいマラソンができた」。千葉にとって意味ある優勝だった。
01年に小出義雄氏主宰の佐倉ACに入り、03年世界選手権銅メダル。しかし昨年末に小出氏の下を離れ、独力で競技に取り組む。米国などのロードレースに積極的に参加したり、代表を逃した世界選手権(ヘルシンキ)もテレビ局の仕事を兼ねて現地に行くなど、活動の間口を広げながら練習。自立後の初マラソンに、過去2勝と相性のいい北海道を選んだ。
スタート前は珍しく緊張。しかし「冷静に自分と対話しながら行こう」と決めた。男子の大集団に交じりながら走りやすい場所を確保してリズムを作り、5~10キロの間を16分43秒と速めの流れに乗った。中盤で脚の力が鈍ったが、27キロ手前の折り返しで嶋原らとの差を確かめ「油断してはいけない」と奮起。昨年11月の東京国際では終盤で嶋原に約1分差を逆転されたが、今回は逃げ切って「走る楽しさを体現できて満足」と喜んだ。
わずか1カ月半後のシカゴにも出場予定。既成概念にとらわれないランナー像を作ろうとしている。「世界中のいろんなレースに出場して私のマラソンを確立したい」と、29歳のプランは広がる。【石井朗生】
○…男子を制した渡辺は「いい練習は積めていたが、レース展開や運にも恵まれた」。25キロ過ぎから独走したモカンバ(アイデム)が終盤に急失速。後続の集団から抜け出した渡辺が勝機をつかんだ。99年防府読売で2時間9分40秒を出した後は伸び悩み、今冬には駅伝でブレーキが続いたショックもあって引退も考えた。しかし「あきらめなければなんとかなる」と走り続けて優勝をつかんだ。女子優勝の千葉とは京都・立命館宇治高の同級生で、千葉が旭化成に所属した00年までは同僚。レース後は一緒に母校の恩師に電話で報告し、喜びを分かち合った。
○…女子2位の嶋原は暑さのなかで自己記録を29秒更新。5キロ過ぎから千葉と離れたが「後ろ姿は見えていたので、あきらめずに追ったのが良かった」。昨年11月の東京国際で日本人トップの2位になったが、世界選手権は補欠。気持ちの整理に時間がかかり走れない時期もあったが、今大会が近づくにつれて気持ちも体調も上向いた。着実に成長しているものの、まだ速いペースにつけない。「日本のトップで勝負するには、持久力もスピードも筋力も足りない」と課題の克服に前向きだ。
【男子】(1)渡辺共則(旭化成)2時間14分50秒(2)J・マイナ(トヨタ紡織)2時間15分53秒(3)D・カリウキ(九電工)2時間16分9秒(4)佐藤智之(旭化成)2時間16分25秒(5)小林誠治(三菱重工長崎)2時間17分29秒(6)押切章宏(愛三工業)2時間17分51秒
【女子】(1)千葉真子(豊田自動織機)2時間25分46秒=大会新(2)嶋原清子(資生堂)2時間26分14秒(3)堀江知佳(アルゼ)2時間29分15秒(4)松岡理恵(天満屋)2時間34分36秒(5)藤川亜希(資生堂)2時間35分5秒(6)疋田美佳(アルゼ)2時間35分25秒
毎日新聞 2005年8月28日 14時47分 (最終更新時間 8月29日 10時28分)