細菌に感染すると増加する「C反応性たんぱく質」(CRP)が動脈硬化と強く関連していることを、筑波大人間総合科学研究科の範江林・助教授(基礎医学)らが突き止めた。心筋梗塞(こうそく)の危険因子である可能性が強く、新たな動脈硬化予防薬の開発につながる成果という。22日付の米国病理学専門誌に掲載された。
CRPは肝臓で作られ、細菌に感染すると分泌される免疫たんぱく質。炎症の指標として用いられる。範助教授らは、動脈硬化を起こすよう遺伝子を組み換えたウサギと正常なウサギを使った実験で、動脈硬化のウサギでは血液中のCRPが最大で正常の約28倍まで増加することを確かめた。一方、ヒトの心筋梗塞の患者の場合、動脈硬化の病変部分にCRPが特異的に多く沈着していることも突き止めた。
範助教授は「CRPが動脈硬化の発症にかかわり、心筋梗塞の危険因子のひとつである可能性が強い。CRPの合成を抑制する新たな動脈硬化予防薬の開発につなげたい」と話している。【和泉清充】