【ワシントン和田浩明】地震や強風で岩石が転がり落ち温暖化も進行する--。地球に比べ地殻や気象の変化が少ないとされる火星が、予想外に活動的である可能性を示す写真を、米航空宇宙局(NASA)が20日公表した。99年から今年にかけ撮影された。NASAは「短期間でこうした変化が観察されたのは、火星が活動的な星であることを示すもの」と説明している。
写真は97年から火星周回軌道で観測を続ける探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」が撮影した。公表されたのは▽岩石が斜面を転がった跡▽砂丘表面に形成された溝▽南極の冠氷の後退のさま▽若い隕石(いんせき)クレーター--を示す4組の画像。
写真分析を行っている主任研究者のマイケル・マリン博士によると、岩石が転がった跡は、南半球にあるクレーターの壁面で見つかった。同博士は「地震か強風で落ちたのではないか。前者であれば火星に地殻活動があることを示す可能性がある」と述べた。砂丘の溝は、02年から05年の間に形成された。地中の二酸化炭素の氷が太陽光で暖められ急激に気体化する過程で表面の砂を押し流したと推定される。南極部の冠氷の写真は、99年から05年まで2年間隔で撮影。最初の2年間で、約3メートル後退していた。
毎日新聞 2005年9月22日 東京朝刊