水戸市の水戸第二高校(山野隆夫校長、生徒数958人)の地学部が、英国の天文学者ウィリアム・ハーシェルが1781年に天王星を発見した際に使った金属鏡望遠鏡を復元し、29日夜、この望遠鏡を使って天王星の観測に成功した。かすかな光を放つ天王星に生徒たちは「この星が惑星と分かったハーシェルはすごい」と驚きの声をあげた。
望遠鏡は口径約16センチ、長さ約2メートル。現在の反射望遠鏡はガラス鏡に光を反射させる構造だが、金属鏡望遠鏡は磨き上げた金属を使う。生徒らは約1年で青銅製の金属鏡を鋳造・研磨し、木製の筒部分を組み立てた。
29日の観測会には顧問の岡村典夫教諭(44)と1、2年の生徒6人が参加。慎重に望遠鏡を動かし、開始から約1時間後に天王星に合わせることに成功した。副部長の石田葵さん(16)は「少し粗いけどはっきり見える」と笑顔を見せた。部長の平林志野さん(17)が「意外に小さくて地味。惑星と分かったのは偶然かも」と話すと、岡村教諭が「ハーシェルは毎日観測をしていたから、星の動きから惑星だと分かった」と解説した。
生徒らは7月、インドネシア・バリ島で開かれた第9回国際天文学連合(IAU)アジア太平洋地域会議に出席し、復元の過程やガラス鏡望遠鏡と比較した成果を英語で発表した。【須田桃子】