国内最大規模のデジタル情報家電の展示会「シーテックジャパン2005」(電子情報技術産業協会など主催)が4日、千葉市美浜区の幕張メッセで開幕した。大手家電メーカーなど過去最多の788社・団体が参加。規格が分裂している次世代DVD(デジタル多用途ディスク)やプラズマと液晶の覇権争いが激化している薄型テレビで、各陣営が優位性をアピールしている。主催者側は8日までの開催期間中、20万人の来場を見込んでいる。【谷口崇子、前川雅俊】
■次世代DVD
今回の目玉の一つは現在のDVDより記録容量が大きい次世代DVD。規格の主導権争いを続けているHD-DVD(HD)陣営とブルーレイ・ディスク(BD)陣営が、数十メートル離れたそれぞれの展示会場でPR合戦を繰り広げている。
BD陣営では、ソニーと松下電器産業がBD方式のプレーヤーを展示。さらに、ソニーはデスクトップ、松下はノートパソコンにBDドライブを搭載した試作機を初めて公開した。松下が開発したディスク表面の保護膜を省く新技術で「製造コストが高い」という弱点を克服し、「現行DVD並みに価格を抑えるメドがついた」と強調する。
一方のHD陣営では、東芝が年内に発売するHDドライブ搭載のノートパソコンを初公開、「量産技術では構造が簡単なHDが勝る」と規格の優位性をアピールした。また、年末から順次発売される「アビエイター」などHD方式に対応したソフト約35タイトルのポスターや映像も公開し、「先行しているのはHD」とのイメージ作りに懸命だ。
■薄型テレビ
業界では「薄型テレビは、今年がプラズマと液晶の決戦の年」(関係者)との見方が強く、展示でもライバルの強みに真っ向から挑戦し合う形になった。
プラズマは液晶に比べて小型化が難しく、消費電力量が多いのが欠点とされる。一方、液晶の弱点は明暗のコントラストで、特に暗い所での画質はプラズマに劣るといわれており、それぞれの弱点を改善した試作品が展示の目玉になっている。
プラズマで業界トップの松下が展示したのは、50型のフルハイビジョン(高規格)対応テレビで発光部分を独自技術で超小型化。デジタルハイビジョン放送を画質を劣化させずに見られるプラズマとしては、最小サイズを実現した。松下は日立製作所、パイオニアと共同で消費電力が従来の半分で済むプラズマパネルも開発、展示している。
一方、シャープは暗いところでもきれいに見える液晶を発表。明暗比はブラウン管やプラズマなど主要方式の中でも最高といい、町田勝彦社長は「液晶の進化はまだ4合目付近。改良の余地は十分にある」と、液晶の潜在能力の高さを強調した。