【ジュネーブ藤好陽太郎】世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド)は、農業分野の自由化について少数国による閣僚会議を開いたが、各国の意見の隔たりを埋められないまま20日、2日間の日程を終了した。会議は、米国、欧州連合(EU)、豪州、インド、ブラジルの5カ国・地域(G5)を中心に行われ、日本、中国なども加わったが、EUが新提案を提出せず、米国などから批判が集中した。12月の香港閣僚会議に向け、来週中をメドにEUが新提案を出せるかどうかが注目される。
EUは、関税の引き下げ方式などで新提案の提出を目指していたが、農業補助金大国のフランスの抵抗で内部調整ができず、出せなかった。
日本からは、岩永峯一農相と中川昭一・経済産業相が2日目の協議に参加した。農相は、一般的な関税率引き下げの例外扱いとする「重要品目」の数を全関税品目数の1%以内に制限する米国案などについて「厳しすぎる」と批判。関税に上限を設定することにもあらためて反対の立場を表明した。