欧米の大手自動車部品メーカーが、日本の自動車大手への売り込みを強めている。米ゼネラル・モーターズ(GM)やフォードの不振が響いて、米部品最大手のデルファイが経営破たんするなど、部品メーカーの経営は厳しさを増している。生き残りには、好調な日本メーカー向けの販売増が不可欠なためだ。報道公開が始まった第39回東京モーターショー(22日から一般公開)でも、展示やトップ外交で受注攻勢をかけている。
世界4位の加マグナ・インターナショナルは昨年9月、日産自動車で企画室長などを歴任した三原聖一氏を日本法人のトップに据えた。今年4月には名古屋事務所を開設。さらにGMとトヨタの合弁工場での勤務経験があるマーク・ホーガン社長の人脈を生かすなど徹底した“日本シフト”を敷いている。日本メーカー向けの売上高を04年の1000億円から07年に倍増させる計画だ。ホーガン社長は「完成車メーカーとの共同開発に備え、現在55人いる日本の技術スタッフを増やしたい」と話す。
世界首位の独ボッシュは、ディーゼルエンジンの燃費を左右する燃料制御装置などを売り込む。日本メーカーは欧州向けディーゼル車の開発・販売に力を入れ始めており、独ダイムラークライスラーが日本でディーゼル車の販売を再開するなど追い風はある。ベルント・ボア自動車機器テクノロジー統括部門長は「日本車は世界で成長しており、世界中に開発・生産拠点を持つ我々にとってはチャンスだ」とする。
シートなど内装品に強い仏フォルシアは、ルノーとの取引実績を生かして日産自動車などに切り込む。昨年9月、横浜市に技術拠点を開設した。「メーカーの近くに技術陣を配置して意思疎通を密にする」(ジェラール・ブレイニング日本代表)という。売上高の3%超に過ぎない日本メーカーからの受注を、3年で2倍以上に伸ばしたい考えだ。【山本明彦】