岡山秋季国体(第3日)の24日は、陸上の成年男子400メートル障害で成迫健児(大分・筑波大)が日本歴代2位となる大会新記録の48秒09で連覇を達成した。成年女子800メートルは8月の世界選手権に出場した丹野麻美(福島・福島大)が大会新の2分4秒60で優勝。少年女子1500メートルはジュニア日本記録保持者の小林祐梨子(兵庫・須磨学園高)が制し、少年女子共通やり投げで優勝した松本百子(長崎・口加高)はジュニア日本新記録の54メートル53をマークした。
レスリングの成年男子フリー84キロ級でアテネ五輪代表の横山秀和(秋田・秋田商高教)が4連覇。相撲の少年男子団体は高校横綱の山口雅弘(鳥取城北高)を擁する鳥取が6年ぶり2回目の優勝を果たし、柔道は成年女子、少年女子ともに埼玉が制覇した。
◇為末の牙城に迫る成迫
ハードルといえば為末大。その牙城に、新進気鋭の成迫が迫ってきた。成年男子400メートル障害を48秒09で制覇。為末の持つ日本記録に0秒20と近づき、8月の世界選手権で為末が銅メダルを獲得した時のタイムを0秒01上回ってみせた。
準決勝で敗退した世界選手権以降も、ユニバーシアード大会などハードスケジュールが続いた。そんな中で7月に記録した自己ベストを0秒26更新した。しかし、レース後の第一声は「調子が良かったし、日本記録を狙ってたのに」。本気で悔しがっていた。
執念を燃やす原動力は、人づてに聞いた為末の言葉にある。「彼なら47秒台を出せる」。成迫は「それを信じて頑張っている」と言う。この日、表彰のために来場した為末も「いつかは必ず出すでしょう」と太鼓判を押した。一方で「自分が退くまでは負けたくない。才能は彼が上だが、僕には戦略の細かさがある」と、自信も見せた。
成迫も反省点、課題を多く口にした。「6、7台目ぐらいから、減速しているのが分かる」と語る。現在は6台目までハードル間を13歩で走るが、8台目まで伸ばすのが当面の目標だ。体のぶれを矯正するための体幹トレーニングにも励む。
すべては為末に追いつき、追い越すため。ハードルは高ければ高いほど、挑戦のしがいがある。【堤浩一郎】