ウェストブロミッジのMF稲本潤一(26)が今季初得点となる決勝ゴールを決めた。25日のリーグ杯3回戦フルハム戦で公式戦9試合ぶりに先発出場。延長前半に30メートル弾を放ち3-2でチームをベスト16に導いた。稲本の欧州公式戦での得点は昨年2月4日のFA杯エバートン戦以来1年8カ月ぶりで通算10得点目。レギュラー獲得への猛アピールに成功した。
2-2の延長前半9分。中央をドリブル突破で駆け上がった稲本は、速度を緩めず、ゴール前約30メートルのところから思い切り右足を振り抜いた。ボールがネットを揺らす。貴重な勝ち越し弾。アウエーのスタンドからは「INAMOTO EVERY WEEK!(稲本を毎週出せ)」の声が響いた。
「これがチャンスだと思っていたので結果が出て良かった。気持ち良くサッカーができた」。先制点にも絡んだ。前半3分、前方に抜け出たアーンショウにセンターサークル付近から絶妙なパスを通し、先制点をアシストした。守備でも激しいプレッシングで再三相手ボールをカット。2-1の後半ロスタイムには、自身の反則から同点とされたが、延長に入ってからは積極的に攻撃参加し決勝点につなげた。
ウェストブロミッジ2季目の今季は開幕のマンチェスター・シティー戦で先発したが、第3節のチェルシー戦を最後に使われなくなった。理由は「攻撃参加後に守備に戻らないこと」(ロブソン監督)。出場機会を失い一時は移籍願望を強めたこともあったが、今月中旬、ロブソン監督から課題のシーンをまとめたビデオを渡され、繰り返し見ながら改善に努めた。
「イナは今までで一番のプレーを見せた。集中力不足や安定しないプレーが問題だったが、この試合で応えてくれた」と指揮官は高く評価。「中盤で相手をよく抑え込んだ」と課題の守備にも合格点を与えた。稲本は「戦力として考えてもらっているということが分かった。次の試合に出られる保証はないが、練習でもアピールしていきたい」と前を見据えた。
<稲本に聞く>
--古巣フルハムとの対戦だったが?
「やりにくい部分もやりやすい部分もあったが、いい感じで落ち着いてできた。簡単にボールもさばけたし、シュートも打てた」
--会心のゴール?
「しっかりボールに当たればいいと思った。枠に飛べばという感じ。これからも狙っていく」
--アシストも良かった?
「最初の5分間は相手の動きも安定していなかったので、そういう時間帯に点を取れたことは良かった」
--今後の課題は?
「まだ次の試合に出られるという保証はない。コンディションはいいので、この調子を練習中からアピールしたい」