【ワシントン木村旬】米商務省が28日発表した7~9月期の米国内総生産(GDP)の実質成長率(季節調整済み・速報値)は、年率換算で前期比3.8%増だった。前期(4~6月期)の成長率(3.3%増)を上回り、今年1~3月期と同じ水準に回復した。
8月末のハリケーン被害と原油価格の高騰で減速が懸念されたが、3%台半ばとされる潜在成長率を確保し、市場予想(3.5%増程度)も上回り、米国経済が堅調に推移したことを示した。
一方、物価動向を示すGDPデフレーターは前期比3.1%上昇と、前期(2.6%上昇)を上回り、原油高でインフレ圧力が強まっていることを示した。このため、米連邦準備制度理事会(FRB)は11月1日に開く連邦公開市場委員会で追加利上げを継続するとの見方が有力だ。
堅調な成長を支えたのは個人消費。3.9%増で、前期(3.4%増)から回復した。設備投資は6.2%増で、前期(8.8%増)を下回ったが、底堅さを維持した。
ただ、ハリケーン後の原油高で10月の消費者心理を示す指数は悪化した。個人消費の伸びを支えた自動車販売もメーカーの大幅値引きが9月末で終了した。市場では「ハリケーンの影響が出てくるのは10~12月期」との指摘もあり、減速懸念は残る。