サムニングループによる住宅リフォーム詐欺事件で、逮捕されたグループ親会社の「エム・エイチ・エス」役員らが、「家屋点検の無料サービス」をかたって民家に上がりこみ、強引な契約の取り付けを重ねていたことが分かった。「サムニンイースト」など子会社の営業マンも同じ触れ込みで民家を訪ね回っており、警視庁生活経済課の調べに対し「(エム社の)幹部から『もっとやれ』とはっぱをかけられた」などと供述。同課は115億円を売り上げた大規模な営業の背景に、ノルマの達成を求める親会社の上層部の指導があったとみて、組織的な商法の全容解明を進めている。【合田月美】
調べでは、エム社の元役員、白倉敬之容疑者(26)と役員の菅谷光利容疑者(33)=ともに詐欺容疑で逮捕=は、一線の営業マンだった当時、高齢者の住宅を訪ねては「屋根裏の柱がゆがんでいる」「床下の基礎部分が沈んでいる」などとうその説明をして不安をあおり、次々と補強工事の契約を取り付けていた。いずれも「家屋の無料点検をやっている」「屋根裏の点検を無料でやっている」などと持ちかけて上がりこむ手口で営業のきっかけをつかんでいた。
白倉容疑者は97~04年、菅谷容疑者は00~03年の期間、それぞれエム社やその前身会社で営業を担当していたが、白倉容疑者は少なくとも11億円、菅谷容疑者は3億円の売り上げ実績をあげた。その「営業手腕」が買われ、04年にはそろってエム社取締役に就任、グループ全体の営業統括責任者になっていた。
一連の事件では、すでに「サムニンイースト」(東京都千代田区)など子会社2社の元社員ら5人が詐欺容疑で逮捕、起訴されている。5人とも白倉容疑者らと同様、「家屋の無料点検をやっている。すぐに済む」などと言って家に上がり込んでいた。家に入ると天井裏や床下に入り込んで「これはひどい。早く改修しないと大変なことになる」と不安をあおり、言葉巧みに契約を取り付けていた。エム社の元社員は毎日新聞の取材に、「マニュアルを文書にはせず、口伝えで教えていた」と話している。