山口市の山口刑務所で今年3月、男性受刑者68人が集団で下痢や腹痛などの症状を訴え、医師の手当を受けていた。山口県は「感染性胃腸炎の可能性が高い」と判断、施設の衛生面に問題があるとみて改善を指導した。
同刑務所によると、3月23日夜、受刑者4人が下痢や腹痛を訴え、刑務所の医師が整腸剤を投与。翌日午前にはさらに64人が症状を訴えたため、県山口健康福祉センターに届け出た。症状は軽かったが、2人が吐き気を訴え、その日作業を休んだ。
同刑務所では、受刑者から選ばれた炊事係が三食を調理する。同センターは調理施設や食事、受刑者の便などを検査し、炊事係から事情を聴いた結果、原因は特定できないものの感染性胃腸炎の可能性が高いことが分かった。一方、3月23日の昼食に出たサツマイモ煮から黄色ブドウ球菌を検出したが、事前に試食した職員に症状は出ておらず、因果関係は分からなかった。
同センターは食材の扱いや調理に問題があるとして、調理担当者の手洗いや食器の洗浄の徹底を求めた。これを受けて刑務所は、調理場の使用を6日間自粛。保存用の乾パンや缶詰、弁当などを代替食にあてた。
山口刑務所は、刑期8年未満の男性受刑者約670人を収容している。青木俊一総務部長は「風邪や不十分な手洗いなどの複合的な原因かもしれない。再発防止に衛生面で細心の注意を払いたい」と話している。【佐藤丈一】