全国の警察が摘発した児童ポルノ事件の被害者(18歳未満)が、児童買春・児童ポルノ禁止法が施行された99年11月以降、今年6月までに623人にのぼり、小学生以下が3割を占めることが、警察庁のまとめで分かった。今年上半期は112人と、前年同期の3倍以上。昨年7月の改正で、撮影やマニア同士の交換などが処罰対象に加わったのが大きな理由だ。インターネットやデジタルカメラの普及で新種の手口が次々と現れ、被害者の特定が難しい画像も出回っている。同庁は「実際の被害はさらに多い」とみている。
警察庁によると、623人の内訳は、未就学7人▽小学生181人▽中学生199人▽高校生189人▽有職・無職少年47人。男子も9人いる。未就学児7人のうち4人は今年検挙された事件の被害者で、低年齢化もうかがえる。
日本の児童ポルノの特徴は、児童買春による行為を撮影したものが多いことだ。子供の側にも問題があるように見られる風潮が強かった。しかし、判断力の未熟な子供たちが軽い興味で出会い系サイトに集まり、小遣いを渡されて撮影される。その時はよく意味が分からなくても、心身に深刻な後遺症が表れる子も多いといわれる。
児童買春・児童ポルノ禁止法は99年11月に施行された。販売や公然陳列などに加え、改正で、単純製造(撮影)▽マニア間など特定少数への提供▽提供を目的とした所持▽画像データの送信--なども処罰の対象となった。
今年上半期の検挙件数は計170件で、前年同期の2・3倍。このうち法改正で新たに処罰対象となった行為が計88件と過半数を占める。また、170件のうちインターネットを利用した犯罪は68件。ネットオークションでの売買が32件あり、ウィニーなどのファイル交換ソフトで入手した画像をDVDに取り込み販売したケースもある。
現在、ネット上の児童ポルノ取り締まりは先進諸国共通の課題とされており、G8でも国際的なデータベースの構築が検討されている。【磯崎由美】