区役所への手続きで、紀宮さまは15日、正式に黒田清子さんとなった。「皇族」から「専業主婦」へ。新居での暮らしは、そして料理の腕前は--。不安と期待を抱えながらの門出だが、側近は「新しい生活を楽しみにされているご様子」とみる。宮内庁は当面、相談に乗る形で新生活をサポートする。
★住まい
結婚式を一週間後に控えた今月8日、紀宮さまは、側近の若い女性らとともに都心近くの下町と山の手の雰囲気が混在する場所に建つマンションを訪れた。表向きは「知人宅への訪問」での隠密行動だった。
築数年の賃貸マンションで、部屋は家具付き1LDK。披露宴を終えて15日夜から2人が暮らす部屋には既に生活に必要な道具類が運び込まれており、紀宮さまは部屋の掃除をしたり、デパートなどで購入した食器を洗い、食器棚に収めるなどした。
「内親王さまだった方としては質素なお住まい」(同庁幹部)。側近が候補をリストアップし2人で選んだ。しかし、この部屋は「仮住まい」だ。来年3月以降、山手線内側の文教地区に建築中のマンションに完成とともに移る予定だ。皇居と都庁の両方に近い地理的な条件やマンションのセキュリティ対策などを考えて決めたという。
★料理は
15日は披露宴の後、ホテルで夕食をとってから新居に入るため、16日の朝食作りから主婦としての生活が始まる。料理について、側近は「レシピをご覧になって、大膳(天皇家の食事の世話係)の職員に材料を用意してもらった後は、ご自分で作られます」と話す。
黒田さんや友人が御所を訪問した時には、初めて挑戦する料理でもレシピをもとに作って振舞う大胆な面もあるという。レパートリーは和洋中華と幅広い。地方に出かけた時も、興味のある料理があると、作り方を教わるなど研究熱心という。ただ、食品などの日常の買い物は当面知人らがサポートすることになる。
★主婦に徹して
側近が「中途半端なことはお嫌い」と語る紀宮さま。長年続けてきたアイメイトチャリティコンサートなどの行事への出席や鳥類の研究などもやめて、当面「専業主婦」に徹することになりそうだ。新婚旅行の計画は今のところない。黒田さんの「慶弔休暇」は7日間。半年間有効で、年明けに予定される伊勢神宮への参拝が、実質的なハネムーンになりそうだ。【大久保和夫、清水忠彦】