柔道の講道館杯全日本体重別選手権は最終日の20日、千葉市の千葉ポートアリーナで男子7階級を行い、100キロ級で国士大1年の石井慧が2連覇を遂げた。66キロ級は学生王者で筑波大2年の秋本啓之が初制覇した。
90キロ級の斎藤制剛(旭化成)が2年連続、100キロ超級の高橋宏明(旭化成)が3年ぶりでともに3度目の栄冠。60キロ級の佐々木伸次朗(了徳寺学園職)、73キロ級の稲沢真人(ダイコロ)、81キロ級の吉永慎也(新日鉄)は初優勝した。
○…66キロ級の秋本がすべて一本勝ちで初制覇し、1回戦負けした昨年の雪辱を果たした。決勝は縦四方固めで仕留めるなど、「得意技ではない」という寝技も駆使した。高校時代は60キロ級ながら春の選抜大会無差別級を制し、シニアの大会のフランス国際でも既に優勝している実力者。「立ち技で決める方が好き。寝技に頼ったので60点」と自己採点は厳しかった。
◇石井 恩返しの優勝
100キロ級の石井は、決意を持って今大会に臨んだ。「恩返しのために優勝する」と。
決勝の相手は、学生王者で天理大3年の穴井を準決勝で破った庄司。攻め続けた。体落としで有効、さらに技ありを奪い、最後は内またの技あり。自然と涙があふれ出た。
10月の全日本学生体重別選手権。この日の90キロ級を制した大学の先輩、斎藤と一緒に調整した。斎藤は寮の石井の部屋に泊まり込み、練習でのアドバイスに加え、試合当日もコーチ席に座った。だが、結果は準々決勝敗退。逆に斎藤から「ごめん」と謝られたという。
男子日本代表の斉藤仁監督には「息が切れるだけの無駄なけいこ」と酷評され、「見返してやろうと思った」と石井。技術面で素直にアドバイスを受け入れるようになり、不慣れな袖を持っての練習にも取り組んだ。
昨年の大会では決勝で穴井を破り、高校生として史上3人目の優勝を果たし、一躍注目を集めた。穴井との直接対決なしの2連覇に「今年も半分、運で勝ってしまった。勝ち続けたい」と石井。斎藤の指導で「少しは楽になった」という大会前の減量。最後は「今夜は大好きな餃子を食べます」と18歳らしい笑顔を見せた。【武藤佳正】