楽天がTBSに経営統合を提案した問題で、両社が近くトップ会談を開く準備を進めていることが23日分かった。TBSは月末に楽天に統合提案を拒否する回答をまとめる方向で、直接会談はその前に両社が事態打開に動く最後の機会になる。ただ、両社の主張は大きな開きがあり、妥協の道が探れるかは未知数だ。
会談は月内に開かれる方向だ。楽天の三木谷浩史社長と、TBSの井上弘社長のトップ同士の見通しだが、場合によっては、役員同士になる可能性もある。
会談で楽天側は、経営統合にはこだわらず、中身のある業務提携と複数の役員派遣を求めるとみられる。TBS側は経営統合を拒否し、楽天に対して保有株の議決権の凍結を求める模様。楽天が株を手放すことに難色を示しているため、議決権を行使しないよう枠をはめたい考えだ。これを楽天が受け入れれば、業務提携を行う考えを示すとみられる。
両社は金融機関などの仲介で、水面下で接触を始めたことが明らかになっている。楽天側はTBS株保有にこだわっており、持ち株比率の低下は強く拒否している。一方、TBSは役員派遣には強く反発している。
TBSの議決権凍結案にも、楽天は難色を示すとみられ、トップ交渉で両社が和解に進むかどうかは予断を許さない状況だ。【TBS問題取材班】
◇攻防、大きなヤマ場 対決回避探り経営判断
楽天とTBSがトップ交渉に向けた準備を進めていることが明らかになり、両社の攻防は大きなヤマ場を迎える。業務提携の内容や楽天が保有するTBS株の議決権凍結、役員の派遣などの条件交渉になる見通しだが、両者の溝は深く、先行きは不透明だ。ただ、最も意見が対立するTBS株の扱いで折り合いがつかない限り対決は避けらず、楽天の三木谷浩史社長とTBSの井上弘社長はギリギリの経営判断を迫られる。
両者の和解に向けた水面下の折衝をTBS幹部は22日夜、認めた。みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループなど「個人を含めて3~4者」が2~3週間前から順次、楽天のTBS株の保有割合19.09%の引き下げなどの仲介案を示した。TBS内には「楽天が経営統合案を取り下げ、株を手放すべきだ」との強硬論が根強く、仲介案には難色を示した。
ただ、楽天を追い込み、株の買い増しに走らせることを避けるためにも、「ギリギリまで分からない」と和解の可能性に期待を寄せる声も出ていた。このため、月末に予定する楽天の経営統合への回答を控え、業務提携には楽天のTBS株の継続保有が障害となっているとの考えをトップ交渉で示し、楽天の妥協を引き出す狙いとみられる。
一方、三木谷社長は会見で「正々堂々と市場での株を買い付けを行って、みんなの利益になると我々は少なくとも思っている」と述べるなど、TBS株の継続保有の意思は固かった。資本提携の裏づけがあってこその業務提携との考えが強い。
ただ、業務提携を申し入れているTBSがTBS株の保有割合の引き下げを望む以上、「業務と役員派遣、株の保有割合とのバランスで考える」(楽天幹部)との声も出ていた。TBS株の扱いは三木谷社長本人の考え次第の面が強く、両社の間でトップ交渉が事態を打開するとの期待は高まっていた。
しかし、TBS株の議決権凍結は楽天にとって極めて高いハードルだ。一方、楽天の求める役員派遣についてTBS側は強い拒否反応を示している。トップ交渉が事態打開の道筋を示す場になるかは予断を許さない状況だ。【TBS問題取材班】
毎日新聞 2005年11月24日 3時00分