不当な保険金不払いで行政処分を受けた明治安田生命保険の松尾憲治社長(1日付で就任)は、毎日新聞のインタビューで「ゼロから会社を作り直す」と改革に全力で取り組む姿勢を強調した。一方で現在の相談役3人については、相談役制度廃止後も2年以上は別のポストで処遇を続ける意向も示した。【宮島寛】
--金子亮太郎前社長が辞意を示してから約5カ月。人事刷新が遅れた理由は?
◆社内調査や金融庁検査の結果を待っていたが、遅いという批判は免れない。顧客の信頼を損ね、上期は新規契約高で30%減になった。信頼を回復し、元の業績を取り戻せるまで3年はかかると覚悟している。
--旧明治生命の主導だった不当不払いを旧明治出身の松尾社長でなくせますか。
◆もはや旧明治だ、旧安田だと言っていられない。過去と決別し、ゼロから会社を作り直す。
--就任会見で相談役制度の廃止を発表しながら非常勤で残す理由は?
◆(前社長ら)役員11人が退任し、私は今年4月に常務に昇格したばかり。重要な取引先などとの関係を引き継いでもらうため対外活動に役割を限って2年か、もう少しの間お残りいただく。社長に助言する従来の機能とは違う。
--引き継ぎにしては長すぎませんか。
◆社外(活動)での立場もある。一定の(経過)期間は必要だ。
--委員会等設置会社への移行を打ち出しましたが。
◆社外の目を多く入れ、監視機能を強めるためだ。取締役の構成は、社内5人に対し社外6人で、三菱系からの起用は1人程度にする。来年7月の総代会(一般企業の株主総会に相当)での承認後、即座に移行する。当然、制度を変えるだけでは駄目で、顧客の目線に立って意識改革をする。役員総出で(不払いの)被害者宅を謝罪してまわりたい。
毎日新聞 2005年12月1日 0時05分