不当な保険金の不払いが発覚した明治安田生命保険に対して、金融庁は25日、週内にも保険業法に基づく業務停止命令と業務改善命令を同時に発動する方針を固めた。金融庁は今年2月にも2週間の一部業務停止命令を出しているが、度重なる保険金の不払い発覚を重視して、業務停止期間を前回並みか、より長期間にする方向で調整している。
同じ金融機関が1年間に2回の業務停止命令を受けるのは極めて異例。明治安田では金子亮太郎社長ら現経営陣3人が辞任を表明しているが、重い行政処分を受けて後継選びは紆余曲折(うよきょくせつ)も予想される。
明治安田をめぐっては、金融庁が7月まで実施した金融検査の中で、新たに不当な保険金不払いを見つけ、過去5年間の不払い実態を報告するよう要求した。明治安田の報告では、保険金の不払いは計1000件以上にのぼり、契約者からの苦情対応にも不適切な例が目立っていた。
また、保険金の不払い件数は、旧明治生命が01年に金子社長ら当時の経営陣を中心に中期経営計画を策定した前後から急速に膨らんでいた。計画には、保険金の支払い査定を強化することで収益を拡大する方針が盛り込まれており、金融庁は保険金不払いが組織的に行われたと認定した。
金融庁は、明治安田に対して内部管理態勢の抜本的な見直しや経営責任の明確化などを厳しく問いただす方針で、新経営陣にも定期的な報告を求めていく。