第1管区海上保安本部などが入っている国の「小樽港湾合同庁舎」(北海道小樽市)が、老朽化を理由に移転を計画している。国は近くの市有地と交換したい考えだが、現庁舎の解体費は市の負担となるため、財政難の市からは色よい返事はもらえない。国側は「現庁舎は耐震性に問題がある。防災官庁の海保が入っており、できるだけ早く建て替えたい」と強調するが、交渉次第では長引く可能性もある。
庁舎は鉄筋コンクリート造6階建て延べ1万2340平方メートルで、65年に建設された。1管のほか、小樽海上保安部、小樽税関支所など10の国の港湾関係出先機関が入っている。同庁舎を管理する北海道財務局(札幌市)は、8月までに財務省に示す来年度予算概算要求に移転計画を盛り込むことを目指している。
同局は移転先として、現在地から海側の港湾道路を隔て、現在は駐車場として使われている市有地(5933平方メートル)を希望。今年4月、駐車場と同庁舎敷地(6200平方メートル)を建物付きで交換する案を市側に提示した。
ところが、市は「建物付きでは解体費が高くつく。協力したいが、小〓の財政状況で負担するのは難しい」(企画政策室)とこの案に難色を示す。ただ、庁舎の位置は小樽運河や石造倉庫群により近いため、観光都市・小樽にとっては魅力の場所。解体費の問題がクリアされれば前向きに検討する考えだ。同局は「解体費をこちらで工面できるかどうか検討している」と話している。【和田浩幸】
毎日新聞 2006年6月6日 14時10分