東北農業研究センター(盛岡市)は8日、大気中の二酸化炭素の濃度が上昇すると、いもち病などイネの病害が発生しやすくなる半面、収量を増すため窒素の多い肥料を与えても、イネは倒れにくくなるとの調査結果を発表した。100年後には二酸化炭素の濃度が現在より200~600ppm上がると予想され、対応できる栽培技術の開発が必要になりそうだ。
同センターは、通常の大気(380ppm)より二酸化炭素濃度を200ppm高めた試験区でイネを育て、いもち病菌を接種した。病気のため葉にできた斑点を調べると、00年7月の実験では通常のイネは1株当たり17.8個だったが、試験区のイネは24.9個に達した。03年の実験でも通常のイネ2.8個、試験区は8.3個となった。
一方、イネ栽培では窒素肥料を増やすと収量が増えるが、イネが倒れやすくなる。センターは、肥料として1平方メートル当たり8グラムの窒素を最初に与える場合と、追肥を2回し計9グラム与える場合、追肥2回で計15グラム与える場合について実験した。
イネが鉛直方向から傾いた角度を調べ18度ごとに5ランクに分けると、15グラムで通常のイネが3ランクまで倒れたが、試験区では2ランクでおさまった。8グラム、9グラムではどのイネもほとんど倒れなかった。【石塚孝志】
毎日新聞 2006年6月8日 21時39分 (最終更新時間 6月8日 22時25分)