証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕された村上世彰(よしあき)前代表が率いていた投資ファンド「MACアセットマネジメント」(村上ファンド)の3月末時点の運用資産残高が4444億6300万円となり、05年12月末に比べ15.6%増えたことが8日、日本証券投資顧問業協会のまとめで分かった。村上ファンドが報告した資料によると、ファンド設立直後の00年9月末の同残高は50億円で、約6年で資金が88倍に増えたことになる。
同協会によると、05年12月末の資産残高の内訳は、国内の資金が739億2800万円(17%)、海外が3705億3500万円(83%)となっているが、「海外」には巨額の資金を運用する国内の生保などの資金が海外の投資ファンドなどを経由して村上ファンドに入っている可能性が高い。
村上前代表は5日、ファンドへの出資者は100社以上あり、残高の約6割は米国の大学財団の出資と説明した。同協会や関係者によると、国内の出資はKDDI企業年金基金などの私的年金が140億300万円、オリックスや農林中金などの法人が599億2500万円だった。
村上ファンドの資産運用を担うMAC社は、3月にシンガポールに現地法人を設立して本拠地を東京・六本木から移転。5月には国内の投資顧問業の廃業届を提出し、同協会から退会したため、国内で資産残高が開示されるのは今回が最後となり、資金の流れはさらに不透明となる。【川口雅浩、上田宏明】
毎日新聞 2006年6月8日 19時58分 (最終更新時間 6月8日 20時59分)