山口県光市で99年4月に起きた母子殺害事件の最高裁判決が20日に言い渡されるのを前に、妻子を殺された本村洋さん(30)が18日、神戸市中央区であったシンポジウムで「被害者が裁判でおかしいと言える司法制度を実現しよう」と話し、犯罪被害者への支援策の充実を訴えた。
シンポは、犯罪被害者基本法に基づく具体的な被害者支援策である犯罪被害者基本計画について学ぼうと、NPO法人ひょうご被害者支援センターが企画した。
パネリストとして参加した本村さんは事件後の1カ月を振り返り、▽自宅が事件現場となったため、捜査が終了し、転居するまで自宅に立ち入ることができなかった▽第一発見者として事情聴取を受けるため会社を休まざるを得なかった--などと、直面した体験を語った。そのうえで、05年4月に施行された同法で居住や雇用の安定が盛り込まれたことを「細かな実態を反映している」と評価した。
閉会後、取材に本村さんは、当時18歳だった被告(25)に死刑を求め続けてきたことについて、02年に渡米して死刑囚に会い、死と向き合って更生する姿を目にしたことを紹介。「死刑を科されたからこそ、人としての心を取り戻していた。被告の反省のために死刑を求める気持ちに今は迷いはない」と語った。【安部拓輝】
毎日新聞 2006年6月19日 10時12分