内閣府は27日、06年版青少年白書を発表した。全国の児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数は04年度で3万3408件と前年度より26%増え、初めて3万件を突破した。統計を取り始めた90年度(1101件)の30倍に増えるという深刻な状況で、白書は「社会全体で早急に解決すべき重要な課題」と警告している。
相談の内容別内訳は身体的虐待が44.5%で最も多く、ネグレクト(保護の怠慢や拒否)36.7%▽心理的虐待15.6%▽性的虐待3.1%--と続いた。04年度分が急増したのは、04年1月に発覚した大阪府岸和田市の虐待事件で児童相談所と学校の連携不足が指摘されたことや、同年10月に改正児童虐待防止法が施行され通報義務が拡大したことなどが影響したとみられる。
警察への相談件数も増加しており、05年は前年比1.5%増の1861件。01年と比べると18%の大幅増になった。このほか、05年に警察が逮捕・書類送検した児童虐待事件は222件だった。
対策として、白書では、地域子育て支援センターや要保護児童対策地域協議会の設置、子育て経験者による「子育てサポーター」の充実などを進めるとしている。【小山由宇】
毎日新聞 2006年6月27日 11時09分