兵庫県姫路市で昨年10月、橋の下で野宿生活していた無職、雨堤誠さん(当時60歳)が火炎瓶を投げられ焼死した事件で、殺人などの罪に問われた少年(18)の初公判が28日、神戸地裁姫路支部(五十嵐常之裁判長)で開かれた。少年は殺人容疑などで逮捕後、神戸家裁姫路支部が「刑事処分相当」として検察官送致(逆送)し、逮捕された14~18歳(事件当時)の4少年の中で1人だけ起訴された。少年は「殺意はありませんでした」と改めて殺意を否認した。
少年は仲間の3少年と共謀し、昨年10月22日午前4時ごろ、同市西夢前台の国道2号夢前橋下の雨堤さんの「住まい」にガソリン入り火炎瓶4本を投げ入れ焼殺したとして起訴された。
検察側は冒頭陳述で「少年は先に投げた3本の火炎瓶の火が付かなかったため、被害者を確実に殺害するため、『出てこんか』と怒鳴りながら残った1本を投げた。火炎瓶を投げれば被害者が逃げられず焼死することも分かっていた」と確定的な殺意があったとした。
一方、弁護側は冒頭陳述で、「少年は人がいるとは思っていなかった。現場に行ったのは他の少年に誘われたためで、野宿者に嫌がらせをしたのも事件当日が初めてだった」と、18歳少年は従属的な立場にあったと主張し、今後、家裁への移送を求める方針。
神戸家裁姫路支部は仲間の3少年について、事件当時14~16歳という年齢などを考慮し、それぞれ初等・中等少年院に送致している。【近藤大介、林田七恵】
毎日新聞 2006年6月28日 11時15分