中央競馬の第73回東京優駿(日本ダービー、G1)は28日、東京競馬場の芝2400メートルに3歳牡馬18頭が出走して行われ、1番人気の皐月賞馬・メイショウサムソンが優勝し、クラシック2冠を達成。1着賞金1億5000万円を獲得した。皐月賞、ダービーの2冠制覇は昨年のディープインパクトに続き史上21頭目。
石橋守騎手は同レース初勝利(G12勝目)、栗東・瀬戸口勉調教師は2勝目(同13勝目)。逃げ粘った4番人気のアドマイヤメインがクビ差の2着。3着に7番人気のドリームパスポートが入った。
レースの売り上げは、前年比3.7%減の316億3835万1200円だった。
◇メイショウサムソン 父オペラハウス、母マイヴィヴィアン。北海道浦河町の林孝輝氏生産。馬主は松本好雄氏。戦績は11戦6勝。獲得賞金は4億4732万7000円。
◇22年の騎手人生に大輪の花
スポットライトとは無縁だった22年の騎手人生に、大輪の花が咲いた。頂点を極め、走りを緩めたメイショウサムソンの上で、石橋はただ手綱をぎゅっと握り締めていた。「手が震えちゃってね」と苦笑いした。
前夜からの雨で緩んだコースとスローペースを利して、アドマイヤメインが逃げた。直線に入っても勢いは衰えない。末脚自慢の強豪たちが、後方でもがいている。まんまと逃げ切るかと思われたところに、サムソンが追いすがった。
「もう後ろからは来ない。敵は逃げ馬のみ」と石橋は狙いを定めた。サムソンが競り合いに負けない根性の持ち主であることは、皐月賞の勝利の際に分かっている。直線半ばで先頭に立つと、あとは大観衆の前でさながらビクトリーランの150メートルだった。
エリート街道を歩んだ昨年の3冠馬ディープインパクトと異なり、瀬戸口調教師はサムソンを「雑草」と評する。猛暑の小倉競馬場でのデビュー戦は期待の良血馬では通常ありえず、多くの有力騎手に騎乗を断られた末、石橋に指名が巡ってきた経緯がある。
愛馬の今後に水を向けられた石橋は、「ディープインパクトに少しでも近づければ。まだ強くなると信じている」。新たな目標は3冠目となる秋の菊花賞。さらには、ミスターシービー(83年)とシンボリルドルフ(84年)以来となる、3冠馬同士の対決へも期待が膨らむ。【田内隆弘】
○…日本競馬界を席巻したサンデーサイレンス産駒だが、同馬は02年8月に死亡し、今年の3歳馬が最終世代となる。初年度の95年から、いきなりタヤスツヨシが日本ダービーを制したのを皮切りに、スペシャルウィーク、ディープインパクトなど6頭のダービー馬を輩出した。今回もマルカシェンク、アドマイヤメイン、フサイチジャンク、エイシンテンリューの4頭が出走したが、アドマイヤメインの2着が最高だった。一方、タヤスツヨシら種牡馬として活動している息子たちも多く、今回のダービーには4頭の孫(父の父がサンデーサイレンスの場合のみ)が出走した。
毎日新聞 2006年5月28日 15時55分 (最終更新時間 5月28日 22時16分)