貸金業の上限金利見直しを検討している自民党の「貸金業制度小委員会」(増原義剛委員長)は3日、違反すると刑事罰が科される出資法の上限金利(年利29.2%)を、利息制限法の水準(同15~20%)に引き下げて原則一本化する方向で調整に入った。多重債務者の発生抑止には、金利の大幅引き下げによる規制強化が必要との判断が大勢になったためで、週内に開く会合で意見を取りまとめ、早ければ今秋の臨時国会に議員立法での改正法案提出を目指す。
消費者金融など貸金業者の貸出金利は、利息制限法が「上限を上回る金利は無効」と規定している一方、貸金業規制法は「債務者が任意に払えば有効」としている。このため、多くの貸金業者が「借り手側の意思」に基づく形で、出資法の上限金利に近い水準で貸し付けている。
小委員会は、出資法と利息制限法の間の不透明な「グレーゾーン金利」を廃止することで一致。高金利が多重債務者増加の背景にあるとして、出資法の上限金利を大幅に引き下げることにした。
ただ、党内には「急激に金利を下げれば貸金業者の審査が厳しくなり、借りられなくなった利用者が、より高金利のヤミ金融業者に流れかねない」「利息制限法の上限を少し超えただけで直ちに刑事罰の対象にするのは難しい」といった慎重論も根強いため、利払いの少ない短期・少額の貸し出しや、適切な業務を行っていると当局が判断した業者に限り、上限金利に3~5%程度上乗せした貸し出しを認めるなど、特例措置も検討する。
小委員会はこのほか、貸金業者の参入規制強化や顧客1人当たりの貸出総額規制などの規制強化案も盛り込む方針。ただ、慎重派の議員から特例措置拡大の要求が出るなど、法案提出までには曲折も予想される。【坂井隆之、清水憲司】
毎日新聞 2006年7月4日 3時00分