ジャワ中部地震の被災地を支援しようと先月3日に発足した「ジャパン・ジャワ・ネット(JJN)」が世界遺産「プランバナン寺院遺跡」の案内書を作り、4日、発売が始まった。売り上げは、地震で大きな被害を受けた同遺跡の修復費として活用される。
ヒンズー教寺院群の同寺院遺跡は、仏教遺跡ボロブドゥールと並ぶインドネシアを代表する遺跡。地震で大小約1000個の石材が落下し、約300カ所に亀裂が見つかった。主な六つの堂のうち、高さ47メートルのシバ、37メートルのブラフマー、27メートルのガルダの土台部分が沈下し、上部が傾いている。
案内書はJJN代表の石井和子元東京外国語大教授(65)が手がけた。寺院内の各堂の解説や、神像、インドの叙事詩「ラーマーヤナ」を石に描いた浮き彫りを写真入りで紹介。インドネシア国営アンタラ通信などから提供された地震後の寺院の写真もある。2000部を販売し、1000部を現地に寄贈する予定だ。
03年に退官するまで長年、インドネシア語やジャワ文化などを教えた石井さんは、「お世話になったインドネシアに恩返しを」と今年4月に「ボロブドゥール仏教遺跡」の案内書を自費出版。続いてプランバナン寺院の案内書を計画中に地震が発生し、「観光業に携わる多くの住民が深刻な影響を受けた。修復のために少しでも力になれば」と内容を一部変更して緊急出版した。
案内書は1部800円(送料込み1000円)。問い合わせはJJN事務局のインドネシア文化宮(東京都新宿区下落合、電話03・3360・9171)。購入希望者は(郵便為替口座・00190・5・544521)まで(通信欄に「プランバナン寺院遺跡」と記入)。【佐藤賢二郎】
毎日新聞 2006年7月4日 11時03分