企業の資金借り入れ意欲が旺盛だ。10日発表の日銀統計では、6月の銀行貸出金が前年同月比1.8%増と、96年3月以来の高い伸びになった。日銀によるゼロ金利政策が間もなく終わり、金利の上昇が本格化する見通しだが、それでも景気回復を背景に企業が設備投資資金を借り入れる動きは衰えておらず、民間銀行も貸出金利引き上げに強気になってきた。
みずほコーポレート、新生、あおぞらの3行は11日の新規貸し出し分から、大企業向け貸出金利の指標となる長期プライムレート(最優遇貸出金利)を年率2.65%に引き上げる。7年5カ月ぶりの水準となる。
バブル崩壊後のリストラで過剰借り入れ、過剰投資から脱却した企業は、景気回復の兆しが明らかになった後も、設備投資を手元資金の範囲に抑えてきた。しかし、経営者が景気の先行きに自信を深めるにつれ、投資をより積極化し、新規借り入れの動きが広がりを見せている。
銀行は日銀が3月に量的緩和政策を解除して以来、市場金利の上昇に合わせて、プライムレートを引き上げてきたが、銀行貸し出しの高い伸びに見られるように、企業の資金需要を冷ます結果にはなっていない。日銀は14日にゼロ金利政策を解除する見通しだが、「企業の資金需要は拡大しており、ゼロ金利解除は当然」(大手銀)との見方も出ている。【野原大輔】
毎日新聞 2006年7月11日