りそなホールディングス(HD)社長に先月28日に就任した水田広行氏は、毎日新聞のインタビューに対し、経営基盤の強化策として優先株の幅広い発行を挙げ、外資やメガバンクとの資本提携には否定的な考えを明らかにした。また、約2兆9000億円残っている公的資金については、早期返済にこだわらず、自己資本の増強にも配慮する意向を示した。
りそなは、今秋まとめる経営健全化計画に公的資金の具体的な返済方法を盛り込む。水田社長は「あらゆる手段を使えば3~4年で返済可能だが、余剰資金をすべて返済に充て、自己資本が薄くなっては本末転倒だ」と説明した。
また、子会社の近畿大阪銀行の株式を一部譲渡し、その売却益を公的資金の返済に充てることを検討する。水田社長は「100%の株式を持っている必要があるのか」と売却の可能性を示唆。ただし、近畿大阪の株式上場は「数ある選択肢のひとつ」と述べるにとどまった。
資本増強策として、りそなは既に9000億円の優先株発行枠の設定を株主総会で決めたが、引受先は未定。水田社長は「色が付く形で出口を見つけるつもりはない」と述べ、特定の外資や他のメガバンクを引受先にして資本提携する考えがないことを強調した。
将来の負担を軽くするには、優先株を低利で発行する必要があるが、それには、市場での信用力を高める必要がある。そこで、高金利の個人向けローンを強化し、収益力向上を目指す。水田社長は「消費者金融などが開拓してきた年利20%超の顧客と、銀行が得意とする年利5%以下の顧客の間にある層はまだ、十分開拓されていない」と参入意欲を示した。消費者金融や信販会社とは提携せず、新しい商品構成で差別化を図るという。
一方、国際業務については「公的資金の返済のめどが立ってからの話だ」と留保しながらも、「健全な銀行として一定水準で収益性を維持しようとすれば、(海外に)出ていかなければならない」と強い意欲をみせた。【赤間清広】
毎日新聞 2006年7月11日 2時00分