北海道大工学部は広報紙「KUON(くおん)」(B4判4ページ)を創刊した。北大初の受験生向け広報紙で、公募で選んだ現役の学部生や院生計4人が編集し、工学部で学ぶ面白さを紹介している。全国的に工学部の志願者数が減少する中、受験生のハートをつかめるか。
創刊号は▽1年の教養▽2年のコース選択▽4年の研究室配属と、大学4年間の勉強の流れを紹介。力学のセンスを生かした工学部各コース別の対抗綱引き大会、研究室のメンバーで広いキャンパスで楽しむジンギスカンパーティーなどの話題も掲載している。KUONは、北大恵迪寮の寮歌「都ぞ弥生」の一節「さやめく甍(いらか)に久遠(くおん)の光」から名付けた。編集に加わった糸井川高穂さん(24)=修士課程1年=は「工学部の楽しさ、明るさが伝わる内容になりました」と話している。
6月中旬の国立大学協会総会に示された岐阜大の調査では、全国87の国立大のうち工学部がある58大学の総志願者数(前期日程のみ)は、今春が5万3350人で、5年前の6万4250人より1万人以上減った。工学部の志願者数は5年間で17%減と、18歳人口の減少率(9%)を大きく上回っている。北大の工学部も今春の前期日程の志願者数は1489人と前年より増えものの、中期的には全国と似たような傾向となっている。
編集長の下川部雅英助教授は「受験生に近い現役学生の目線で編集した。大学全入時代と言われる中で、工学部の魅力を高校生にアピールしていきたい」と話している。1万部発行。年3回発行し、全国の高校や高等専門学校572校に送る。【千々部一好】
毎日新聞 2006年7月11日 1時55分