【ウィーン会川晴之】ポーランドのマルチンキエビッチ首相辞任を受け、レフ・カチンスキ大統領は10日、新首相に双子の兄で、与党「法と正義」のヤロスワフ・カチンスキ党首を指名した。
兄弟は、ともに自主管理労組「連帯」の出身。昨年9月の総選挙で「法と正義」が第1党となり、兄のヤロスワフ氏の首相就任が確実視されたが、弟のレフ氏が10月の大統領選に出馬中で、同選挙を優位に運ぶには「双子で国家権力を独占」との批判を避けるのが賢明と判断、大統領選を前に腹心の部下だったマルチンキエビッチ氏を首相に据えていた。
マルチンキエビッチ首相は財務相人事をめぐり「法と正義」との関係が悪化、野党第1党の党首との秘密会談が暴露されたため、辞任に追い込まれた。
ポーランドの有力日刊紙「選挙新聞」は同日、カチンスキ兄弟への権力集中は「ポーランドにとってよくない」との回答が6割に達したとの世論調査結果を伝えた。