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社説:全国知事会 国のかたち変える気概を

作者:未知  来源:mainichi-msn   更新:2006-7-17 8:14:33  点击:  切换到繁體中文

 

「戦う知事会」が守りに入っていないか。先週、松江市で開かれた全国知事会議はそんな懸念を抱かせるものだった。

 会議で決めたのは、今後の地方分権に向けた取り組みだ。政府の「骨太の方針」に、地方分権関係法令の「一括見直し」が盛り込まれたことを受け、国と地方の役割分担について知事会でも検討を進め、9月の自民党総裁選では候補者に地方分権推進を公約に掲げるよう要望もしていくという。

 知事会に危機感があるのは認める。中身は中途半端だったとはいえ、国と地方の税財源を見直す「三位一体改革」が曲がりなりにも進んだのは、小泉純一郎首相が地方の意見を重視する姿勢を示したからだろう。だが、首相が交代すれば再び地方分権は二の次のテーマにならないかというわけだ。

 しかし、今回の骨太方針で地方交付税見直しなどにほとんど踏み込めなかったのは、参院自民党が来夏の参院選で味方につけようと知事会に配慮した事情が大きい。麻生渡会長(福岡県知事)は「これも戦い取った成果」というが、「知事会は現状維持を求める陳情型に戻った」との声が出始めているのを忘れてはいけない。

 国のかたちを自分たちが変えていく。知事会は、その気概を改めて示してもらいたい。

 例えば、知事会が要求している「国と地方が協議する場」を、きちんと法律に明記して設置する案は、もっと声を大にしていい。

 知事会によれば、新たに設置する「地方行財政会議」は単に国へ陳情するのではなく、対等の立場で国と地方が政策を協議する場としたいという。実現すれば国の政策決定システムの大きな変革であり、都道府県代表の側面も持つ参議院の役割見直しにもつながるかもしれない。知事会は、この点こそ国民にアピールすべきだ。

 今度の知事会議で残念だったのは、首相の諮問機関・地方制度調査会が今年2月、「導入が適当」と答申した道州制について議論したものの、賛否が分かれ、結論を先送りしたことだ。

 「論点が多く、結論を出すのは時期尚早」との意見も分からぬわけではない。当面の課題が「いずれ道州制の導入時に」と先送りの言い訳にされる心配もある。

 だが、知事会内に設置した特別委員会がまとめた報告に記載されているように、道州制は「国と地方の政府を一体的に再構築するものであり、この国のかたちを抜本的に変革する地方分権改革の推進につながる」と私たちも考える。

 国と地方で重複した業務のムダを省くだけではない。地方に権限と責任を与え、広域的な枠組みの下で独自性を発揮した方が、国全体に新しい活力が生まれないか。道州制は少子高齢化社会、格差社会に対応する切り札になる可能性を秘めているからだ。

 自民党の中川秀直政調会長は「新たな省庁再編と道州制は自民党総裁選の争点になる」と言う。知事会自ら打って出ないと、いつの間にか、中央に先を越される可能性もあるのだ。

毎日新聞 2006年7月17日 


 

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