金融庁は21日、オリックス系の資産運用会社「オリックス・アセットマネジメント」(本社・東京都港区)に対し、投資用の不動産を取得する際の審査がずさんだったとして、新規の運用受託契約を24日から3カ月間停止する命令を出した。また、同社と、同社に運用を委託している東京証券取引所上場の不動産投資信託(日本版リート)「オリックス不動産投資法人」に対し、再発防止と責任所在の明確化などを求める業務改善命令を出した。日本版リートの運用会社が業務停止命令を受けるのは初めてで、大都市圏の地価上昇を背景に急成長している日本版リート市場にも大きな影響を与えそうだ。
金融庁などによると、オリックス・アセットマネジメントが01年12月~06年3月に取得した商業ビルなどの不動産55件のうち10件が、違法建築物件であったり、面積の測定を怠って実際より広い面積で契約するなど、審査が不十分だった。また、オリックス不動産投資法人は01年9月~06年2月、役員会130回を開いたとする議事録を作成していたが、うち88回は議事録を回覧して承認するだけの「持ち回り決議」で、実際に集まって開くことを求めた投資信託・投資法人法の要件を満たしていなかった。処分についてオリックス・アセットマネジメントは「厳粛に受け止め、再発防止に取り組みたい」とコメントした。
オリックス不動産投資法人は01年9月に設立され、02年6月に東証上場。05年2月末現在の運用資産は計1938億円で、主に首都圏の中規模オフィスビルなど40件を保有している。【坂井隆之】
毎日新聞 2006年7月21日 20時23分